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伊藤 均
原子力eye, 44(8), p.60 - 63, 1998/08
わが国では食品照射は半分忘れられた状態になっているが、欧米諸国では実用化が着実に進展している。世界的に食品照射の実用化が進んでいる背景には照射食品の安全性が証明されたことも大きく関係している。WHOは1980年に10kGyまでの照射食品の安全性を宣言したが、さらに1997年には10kGyの上限を撤廃し、病人食を対象とした75kGyの滅菌線量でも安全性に問題はないと宣言した。照射食品の規格基準はFAO・WHO合同食品規格委員会で1983年に採択されており、加盟各国に国内法規への採用を強く勧告している。食品照射で注目されているのは食品由来の病気を防止するための衛生化対策である。米国は病原大腸菌対策を目的とした牛肉等の照射を許可し、ひき肉等の照射を義務付けようとしている。検疫で広く使用されている臭化メチルの代替法としても放射線処理が注目されており、米国等多くの国で実用化しようとしている。